傷病手当金は1日あたり「標準報酬月額の平均÷30×3分の2」で計算され、下のツールに直近12か月の標準報酬月額の平均と休んだ日数を入れれば概算が出ます。ただしツールの数字は額面で、振り込まれる手取りは社会保険料や住民税の分だけ目減りします。ツールの数字が何を指すのか、振込額が想定とずれる理由は記事後半で確認できます。
入力は月収と休んだ日数の2つだけで概算が出る
傷病手当金 かんたん概算ツール
※標準報酬日額を10円単位、その3分の2を概算した目安です。正確な額は加入先の健康保険が決定します。手取りは社会保険料・住民税の支払いで目減りします。
上のツールに必要なのは2つだけです。直近12か月の標準報酬月額の平均と、会社を休んだ日数を入れると、1日あたりの支給額と期間分の概算が表示されます。
標準報酬月額は、社会保険料を決めるための月収の区切りです。毎月の給料そのものではなく、原則4〜6月の給料をもとに決まった等級の金額で、給与明細や標準報酬決定通知書、ねんきん定期便などで確認できます。
入力する2つの数字の意味
- 直近12か月の標準報酬月額の平均=支給が始まる月の前1年分の標準報酬月額をならした金額です。残業の多い月や少ない月があってもならされます。
- 休んだ日数=連続3日の待期が成立した後、4日目以降の働けなかった日数です。土日や祝日も含めて数えます。
出力された金額の読み方
1日あたりの額は「標準報酬月額の平均÷30×3分の2」で出ます。期間分はそれに対象日数を掛けたものです。ここで出るのは支給される額面で、実際に振り込まれる手取りとは違います。
傷病手当金そのものは非課税で、所得税はかかりません。ただし休職中も健康保険料・厚生年金保険料・住民税の支払いは続きます。これらは給料から天引きできないぶん会社へ振り込むか自分で納めることになるので、その分だけ手元に残るお金は目減りします。
ツールの数字はあくまで概算です。標準報酬日額には10円未満の四捨五入などの端数処理があり、最終的な金額は加入している健康保険(協会けんぽや健康保険組合)が決めます。1円単位まで合わせたいときは保険者に確認してください。
計算式は標準報酬月額の平均を30で割って3分の2をかける
計算式は1つ覚えれば十分です。「支給開始日以前の直近12か月の標準報酬月額の平均÷30×3分の2」が1日あたりの支給額になります。
実際には端数処理が2回入ります。まず標準報酬月額の平均を30で割り、10円未満を四捨五入して標準報酬日額を出します。次にその3分の2を計算し、1円未満を四捨五入したものが支給日額です。ツールと電卓で数十円ずれることがあるのはこのためです。
支給が始まるのは休み始めてすぐではありません。連続して3日間休む待期が成立し、その4日目から支給対象になります。待期の3日は有給でも土日でもカウントされますが、3日が連続していることが条件です(出典: 協会けんぽ)。端数処理や計算手順をもっと細かく知りたいときは傷病手当金の計算方法と早見表で確認できます。
月収別の早見表でもらえる額の目安をつかむ
自分の標準報酬月額に近い行を見れば、おおよその金額がつかめます。下の表は端数処理を反映した1日あたりの額と、30日休んだ場合の目安です。
| 標準報酬月額 | 標準報酬日額 | 1日あたり支給額 | 30日分の目安 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 6,670円 | 4,447円 | 約133,410円 |
| 24万円 | 8,000円 | 5,333円 | 約159,990円 |
| 28万円 | 9,330円 | 6,220円 | 約186,600円 |
| 30万円 | 10,000円 | 6,667円 | 約200,010円 |
| 36万円 | 12,000円 | 8,000円 | 約240,000円 |
| 44万円 | 14,670円 | 9,780円 | 約293,400円 |
表の額は天引き前の額面です。ここから社会保険料と住民税が引かれます。もっと細かい月収区分の早見表は傷病手当金の金額早見表にまとめています。
加入12か月未満は加入期間の平均と32万円の低い方で決まる
入社して間もないなど、加入期間が12か月に満たない場合は計算のもとになる金額が変わります。「実際に加入していた月数の標準報酬月額の平均」と「協会けんぽの全被保険者の平均額」を比べ、低い方を使って計算します。
この全被保険者の平均額は、支給開始日が2025年4月1日以降の人は32万円です(それより前は30万円でした)(出典: 協会けんぽ)。たとえば加入半年で平均が40万円でも、32万円のほうが低ければ32万円で計算されるため、給料が高めの人ほど想定より少なくなりやすいところが落とし穴です。32万円で計算した場合、1日あたりはおよそ7,113円になります。
退職後ももらえるのは在職中から続けて受けている人
退職後も続けてもらえるのは、条件を満たした人に限られます。退職日までに継続して1年以上健康保険に加入していて、退職日の時点で働けない状態(労務不能)が続いていることが必要です。
気をつけたいのは退職日の扱いです。退職日に出勤してあいさつ回りや引き継ぎをすると、その日は働けたとみなされ、退職後の継続給付を受けられなくなることがあります。また、いったん受給が途切れて働ける状態になると、その後に再び受け取ることはできません。
退職後にいつから振り込まれるか、どんな手続きが要るかは傷病手当金がもらえる時期で確認できます。会社とのやり取りや書類集めが負担なときは、申請を代行してくれる支援サービスに任せる手もあります。
ほかの給付と重なると減額や不支給になる
ツールの概算より実際の振込が少なくなる、あるいはゼロになる代表的なケースがあります。重なって受け取れない給付があると、傷病手当金は減額されたり支給されなかったりします。
- 会社から給与が出ている=休職中に給与の一部が支払われると、その分だけ傷病手当金が減額されます。給与が傷病手当金より多い日は支給されません。
- 出産手当金と重なる=同じ期間に出産手当金が出る場合は出産手当金が優先され、傷病手当金が上回るときの差額だけが支給されます。
- 障害厚生年金や障害手当金を受けている=同じ病気やケガが原因の場合は原則として傷病手当金は支給されず、年金額が傷病手当金より少ないときに差額が出ます。
- 退職後に老齢年金を受けている=退職後の継続給付中に老齢厚生年金などを受けていると、年金額が傷病手当金を下回る場合に差額のみ支給されます。
こうした調整があるため、ツールの数字は上限の目安として受け取るのが安全です。
よくある質問
- 全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/benefit/002/index.html
- 全国健康保険協会「傷病手当金(給付と手続き)」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html
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※相談・診断は無料。受給可否はハローワーク・各保険者の審査によります



