傷病手当金に税金はかかる?非課税だが住民税・社会保険料・確定申告に注意

傷病手当金には所得税も住民税もかかりません。健康保険法にもとづく給付で、まるごと非課税だからです。ただし休職中も社会保険料と前年所得にかかる住民税の支払いは続くので、手取りベースでは見た目より目減りします。ここを知らないと「非課税なのに引かれている」と勘違いします。

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傷病手当金は所得税も住民税もかからない非課税の給付金

傷病手当金は非課税です。所得税も住民税もかかりません。月に20万円でも30万円でも、受け取った金額に税金は引かれません。

根拠は税金のルールそのものにあります。健康保険法にもとづいて支給されるお金は、所得税法で「非課税所得」として課税の対象から外されているからです。非課税所得とは、簡単に言うと税金の計算にそもそも含めない収入のこと。給料やボーナスとは扱いが違います。

国税庁も、課税される所得と非課税所得を分けて説明しています(出典:国税庁 No.2011。健康保険の傷病手当金は後者、つまり税金がかからない側です。だから源泉徴収もされず、振り込まれた額がそのまま受け取れます。

非課税でも社会保険料と住民税の支払いは休職中も続く

ここが一番の注意点です。傷病手当金が非課税でも、休職中の出費がゼロになるわけではありません。給料が止まっても払い続けるものが2つあります。

  • 社会保険料(健康保険・厚生年金)。在職して休職している間は被保険者のままなので、毎月の保険料はかかり続けます。働いていたときは給料から天引きされていましたが、給料が出ないと会社へ振り込んで納める形になることが多いです。
  • 住民税。住民税は前年の所得に対してかかり、翌年6月から納めます。つまり今年休職していても、去年しっかり働いていれば、その分の住民税は容赦なく請求されます。給料天引き(特別徴収)ができなくなると、自宅に納付書が届いて自分で払う(普通徴収)に切り替わります。

結果として、非課税の傷病手当金から社会保険料と住民税を払うことになり、実際に手元に残る額は支給額より少なく感じます。傷病手当金は給料のおよそ3分の2が目安なので、そこからさらに出ていくと考えておくと安全です。金額の出方は傷病手当金の計算方法と早見表で確認できます。

退職して国民健康保険に切り替えると保険料の計算が変わります。在職時の任意継続と国保のどちらが得かは任意継続と国保の比較を参考にしてください。

傷病手当金そのものに確定申告はいらないが還付で得するケースがある

傷病手当金は非課税なので、傷病手当金を受け取ったこと自体について確定申告をする必要はありません。「収入があったから申告しなきゃ」と身構えなくて大丈夫です。

ただし、別の理由で申告したほうが得になるケースがあります。むしろ放っておくと払いすぎた税金が戻ってきません。

状況 確定申告 理由
傷病手当金だけを受け取り、年内ずっと休職 原則不要 非課税なので申告する所得がない
年の途中で退職して年末調整を受けていない したほうが得 働いた月の給与で源泉徴収された所得税が戻る可能性
1年間の医療費が10万円を超えた したほうが得 医療費控除で所得税・住民税が下がる
副業や不動産など他の所得がある 必要 その所得は課税対象なので申告義務

とくに病気やケガで休職している人は治療費がかさみがちです。1年間に支払った医療費が10万円(所得が低い場合は所得の5%)を超えると、医療費控除が使えます(出典:国税庁 No.1120。傷病手当金は非課税なので、医療費から差し引く「補てん金」にも含めません。ここは間違えやすいところです。差し引くのは入院などで受け取った生命保険の給付金などで、傷病手当金は対象外です。

退職した年の申告の進め方は退職後の確定申告のやり方にまとめています。

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配偶者の税法上の扶養には影響しないが健保の扶養は外れることがある

「傷病手当金をもらうと配偶者の扶養から外れる?」という心配。ここは税金と健康保険で答えが分かれます。

  • 税法上の扶養(配偶者控除・扶養控除)。傷病手当金は非課税なので、扶養を判定するときの合計所得金額に含めません。つまり傷病手当金をいくら受け取っても、配偶者控除や扶養控除の判定には影響しません。配偶者の年末調整や確定申告で控除を受け続けられます。
  • 健康保険の扶養。こちらは逆に「収入」として見ます。健康保険の扶養に入る基準は年収130万円未満(60歳以上や障害者は180万円未満)が目安で、傷病手当金もこの収入に含めて判定します。月額にすると約108,334円(被扶養者の収入要件は日本年金機構の被扶養者ページを参照)。傷病手当金の日額が高いとこのラインを超え、健保の扶養に入れない、あるいは外れることがあります。

同じ「扶養」でも、税金は対象外、健康保険は対象。この違いを取り違えると手続きでつまずきます。

年末調整は休職した年でも受けられる場合がある

年末調整は、その年に給料を払った会社が行う手続きです。年の途中まで働いていて、年末時点で在職している(休職中も含む)場合は、勤め先で年末調整を受けられることがあります。傷病手当金は非課税なので年末調整の対象には入りませんが、働いた期間の給与について生命保険料控除などを反映でき、払いすぎた所得税が戻ることがあります。

一方、年の途中で退職してそのまま再就職していない場合は、会社の年末調整を受けられません。このときは自分で確定申告をすれば、年末調整の代わりに各種控除を受けて還付を受けられます。申告のやり取りが負担に感じるなら、退職給付の申請をまとめて支援してくれる専門家サービスに任せる手もあります。

傷病手当金の税金まわりでよくある勘違い

最後に、税金まわりで相談が多い勘違いを整理します。

  • 「自治体から住民税の申告書が届いた=税金を取られる」ではない。非課税証明や保険料・保育料の算定のために、自治体は住民全員の前年所得を把握する必要があります。傷病手当金しか収入がなければ申告しても住民税はかかりません。
  • 「非課税だから何も払わなくていい」ではない。払うのは前年所得にかかる住民税と、休職中も続く社会保険料です。傷病手当金自体に税金がかからないだけです。
  • 「傷病手当金を医療費控除の補てん金として差し引く」は誤り。差し引くのは入院給付金など。傷病手当金は差し引かなくてよいので、医療費控除を満額に近く使えます。
  • 「源泉徴収票に傷病手当金が載らない=会社のミス」ではない。非課税なので給与の源泉徴収票には載りません。これが正常です。

よくある質問

Q. 傷病手当金に税金はかかりますか
A. かかりません。所得税も住民税も非課税です。健康保険法にもとづく給付で、所得税法上の非課税所得にあたるため、源泉徴収もされず振り込まれた額がそのまま受け取れます。
Q. 傷病手当金をもらったら確定申告は必要ですか
A. 傷病手当金だけなら原則不要です。非課税なので申告する所得がありません。ただし年の途中で退職して年末調整を受けていない、1年の医療費が10万円を超えた、副業など他の所得がある場合は、申告すると還付を受けられたり申告義務が生じたりします。
Q. 非課税なのに住民税の請求が来るのはなぜですか
A. 住民税は前年の所得に対してかかり、翌年6月から納めるしくみだからです。今年休職していても、前年働いていればその分の住民税は請求されます。傷病手当金そのものに税金がかかっているわけではありません。
Q. 傷病手当金をもらうと配偶者の扶養から外れますか
A. 税法上の扶養(配偶者控除など)は非課税なので影響せず、外れません。一方、健康保険の扶養は傷病手当金も収入として見るため、年収130万円(月約108,334円)の基準を超えると外れることがあります。
Q. 医療費控除を受けるとき傷病手当金は差し引きますか
A. 差し引きません。医療費から引くのは入院給付金など特定の補てん金で、傷病手当金は対象外です。そのまま医療費控除を計算できます。1年の医療費が10万円(所得が低い場合は所得の5%)を超えれば対象になります。

参考資料

  1. 国税庁 No.2011 課税される所得と非課税所得 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2011.htm
  2. 国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
  3. 全国健康保険協会(協会けんぽ) 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金) https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html

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