「休職しなければよかった」と後悔する5つの理由と今からできること

「休職しなければよかった」という後悔の多くは、休んだこと自体ではなく、収入が減る・戻りづらい・制度を知らずに損した、という準備不足から来ます。後悔の典型パターンを正直に並べたうえで、傷病手当金で収入の3分の2を確保する、退職後も給付を続ける、自立支援医療で医療費を1割に抑える、といった具体的な手を順番にまとめました。今からでも間に合うものが多いです。

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休職しなければよかったと感じる5つの後悔は中身が違う

「休職しなければよかった」と検索する人の後悔は、ひとくくりにできません。よく語られるのは次の5つです。

  • 収入が減って生活が苦しくなった
  • 休んだのに体調が戻らない気がする
  • 職場に戻りづらい、居場所がなくなった
  • キャリアが止まった、評価や昇進で出遅れた
  • 傷病手当金などの制度を知らず、もらえたお金を取りこぼした

この5つは原因も対処も別物です。お金の後悔は制度で取り返せることが多く、戻りづらさは復職の進め方で減らせます。一方で「休んだのに回復しない」は、休み方そのものを見直す話になります。まず自分の後悔がどれなのかを切り分けると、やるべきことがはっきりします。お金の後悔は制度で取り返せる部分が大きいので、後悔の種類ごとに、いくら戻るのか・いつ申請するのかまで具体的に見ていきます。

収入が減る後悔は傷病手当金で給与の3分の2まで戻せる

収入の後悔は、傷病手当金でかなり埋められます。傷病手当金とは、病気やケガで働けず給与が出ないときに、健康保険から生活費が支給される制度です。言いかえると、休んでいる間の給料の代わりになるお金です。

金額の目安は、標準報酬日額のおよそ3分の2です。標準報酬日額とは、直近12か月の標準報酬月額(社会保険料を決めるための平均的な月収)の平均を30で割った1日あたりの金額のこと。たとえば月収30万円程度なら、1日あたりおよそ6,600円、1か月でおよそ20万円が目安になります。給与満額ではありませんが、ゼロではありません。

支給は4日目から、通算で最長1年6か月

連続して3日休む待期期間(有給や土日も含む)があり、4日目から支給対象になります。支給される期間は通算で最長1年6か月です(令和4年1月の改正で「支給開始から1年6か月」から通算へ変更)(出典:協会けんぽ。途中で復職した期間はカウントから外れ、再び休んだ分を足していく通算方式です。くわしい金額の出し方は傷病手当金の計算方法と早見表にまとめています。

手取りは社会保険料と住民税で目減りする

見落としやすいのはここです。傷病手当金そのものは非課税ですが、休職中も社会保険料と住民税の支払いは続きます。会社が立て替えていた分を後でまとめて請求される、というケースもあります。給与天引きがなくなるぶん、自分で納める負担が見えにくく、想像より手取りが少なく感じやすいです。受け取る額と出ていく額を、休職に入る前に一度書き出しておくと後悔が減ります。

月収の目安 1日あたりの目安 1か月あたりの目安
20万円 約4,400円 約13万円
30万円 約6,600円 約20万円
40万円 約8,800円 約26万円

金額は標準報酬月額や日数によって変わります。実際の支給額は加入する健康保険組合・協会けんぽにご確認ください。

戻りづらい後悔はリワークと段階的な復職でやわらげる

「戻りづらい」という後悔は、いきなりフル出社に戻ろうとするほど強くなります。ここで役立つのがリワークです。リワークとは、復職に向けて生活リズムや仕事の負荷に少しずつ体を慣らしていく復職支援プログラムのこと。医療機関や地域の施設で受けられ、決まった時間に通うことで生活リズムを立て直しやすくなります。

いきなり全開ではなく段階的に戻す

多くの会社には、時短勤務や軽い業務から始める「ならし出社」「試し出勤」の仕組みがあります。最初の数週間は午前だけ、負荷の低い作業から、という戻し方です。主治医と産業医、人事と相談しながら段階を踏むと、再び休む確率を下げられます。復職後すぐに以前と同じ量をこなそうとして、もう一度倒れるのが一番避けたいパターンです。

復職直後は新しい役割になじむまで時間がかかる

休職中に席や担当が変わっていることは珍しくなく、戻ってから2〜3か月かけて新しい役割に慣れていくのが一般的です。復職直後に以前の評価を取り戻そうと業務量を一気に戻すと、再休職につながりやすいことが知られています。休職の診断書の出し方や復職時の扱いは休職の診断書でも触れています。

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知らずに損した後悔を防ぐ制度は今からでも申請できる

「知っていれば損しなかった」という後悔が、実は一番もったいないパターンです。次の制度は、休職中や退職後でも申請できるものが多くあります。

自立支援医療で通院費を1割に抑える

うつ病や適応障害などで継続して通院している場合、自立支援医療(精神通院医療)を使うと、医療費の自己負担が原則1割になります(出典:厚生労働省。診察代と薬代の両方が対象です。所得に応じて月の上限額も決まるため、長く通うほど効きます。申請は市区町村の窓口で、主治医の診断書が必要です。適応障害での休職と手当の関係は適応障害の休職と傷病手当金にまとめています。

退職しても傷病手当金は続けられる

退職で打ち切りだと思い込んで損する人が多いです。退職日まで継続して1年以上健康保険に加入していて、退職日に労務不能の状態(出勤せず傷病手当金を受けられる状態)であれば、退職後も残りの期間ぶん継続して受け取れます(出典:協会けんぽ・資格喪失後の継続給付。ポイントは退職日に出勤しないこと。最後に挨拶のつもりで出社すると、継続給付の条件を満たさなくなることがあります。

失業保険は受給期間の延長で後ろ倒しにする

傷病手当金と失業保険(基本手当)は同時には受け取れません。失業保険は「働ける人」が前提で、傷病手当金は「働けない人」が対象だからです。働けない間は傷病手当金を受け取り、ハローワークで受給期間延長の手続きをして、回復後に失業保険を受け取るのが基本の流れです(出典:ハローワーク。延長しておかないと、もらえる前に受給の権利が時効で消えることがあります。退職後の手当の関係はうつでの休職から退職もあわせてご覧ください。

休職を続けるか退職するかは傷病手当金の継続条件で決まる

「このまま休職を続けるべきか、退職すべきか」で迷う人は、感情ではなく傷病手当金の継続条件を軸にすると決めやすくなります。

  • 退職日まで継続して健康保険に1年以上加入しているか
  • 退職日に労務不能(働けない状態)であるか
  • 傷病手当金の通算1年6か月の残りがどれくらいあるか

この条件を満たすなら、退職してからも残り期間ぶんの傷病手当金は受け取れます。つまり「在籍していないと一円ももらえない」わけではありません。逆に、加入期間が1年に届かないうちに退職すると継続給付は使えないため、その場合は退職時期を少し後ろにずらすだけで結果が変わります。

退職後の医療費と健康保険も忘れずに

退職すると会社の健康保険から外れます。任意継続(退職後も会社の健保に最長2年続けて入る方法)か国民健康保険か、どちらが安いかは収入によって変わります。継続給付を受けるなら健康保険の切り替えとの兼ね合いも出てくるので、退職前に一度試算しておくと安心です。判断材料がそろわないうちに勢いで辞めると、後から「制度を確認してから決めればよかった」という後悔につながります。

後悔を最小にする休職前後のチェックリスト

後悔を完全になくすことはできませんが、減らすことはできます。休職前後で確認しておきたい項目を並べます。

タイミング 確認すること
休職前 傷病手当金の見込み額と、社会保険料・住民税の支払い額を書き出す
休職前 健康保険の加入期間が1年以上あるかを確認する
休職中 自立支援医療を申請して通院費を1割に下げる
休職中 傷病手当金の申請を毎月忘れずに出す
復職前 リワークやならし出社で段階的に戻す段取りを組む
退職を選ぶ前 退職日に出勤しない、継続給付と失業保険延長の順番を決める

傷病手当金も失業保険も、基本は自分で申請できる制度です。ただ、体調が悪いときに書類を毎月そろえたり、会社や健保とやり取りしたりするのが負担になることもあります。そのやり取り自体がしんどいなら、申請を代行してくれる支援サービスに任せる手もあります。自分でやるか任せるかは、今の体力と相談して決めて問題ありません。

よくある質問

Q. 休職しなければよかったと後悔しています。今からでもできることはありますか。
A. あります。傷病手当金をまだ申請していなければ過去分もさかのぼって請求でき、通院中なら自立支援医療で医療費を1割に下げられます。復職が不安ならリワークやならし出社を会社に相談する方法もあります。後悔の中身がお金なのか復職なのかを切り分けると、打てる手が見えてきます。
Q. 休職中はどれくらいお金がもらえますか。
A. 傷病手当金として、標準報酬日額のおよそ3分の2が支給されます。月収30万円程度なら1か月あたりおよそ20万円が目安です。給与満額ではなく、休職中も社会保険料や住民税の支払いは続くため、手取りはさらに目減りします。受け取る額と出ていく額の両方を確認しておくと安心です。
Q. 退職したら傷病手当金はもらえなくなりますか。
A. 条件を満たせば退職後も継続して受け取れます。退職日まで継続して健康保険に1年以上加入していて、退職日に働けない状態(出勤しない)であれば、残りの期間ぶん継続給付を受けられます。退職日にうっかり出社すると条件を満たさなくなる点に注意してください。
Q. 傷病手当金と失業保険は両方もらえますか。
A. 同時には受け取れません。失業保険は働ける人が前提、傷病手当金は働けない人が対象だからです。働けない間は傷病手当金を受け取り、ハローワークで受給期間の延長手続きをして、回復後に失業保険を受け取る順番が基本です。
Q. 休職を続けるか退職するか決められません。
A. 傷病手当金の継続条件を軸に考えると判断しやすくなります。健康保険の加入が1年に届いていない場合は、退職時期を少し後ろにずらすだけで継続給付が使えるようになることがあります。退職後の健康保険(任意継続か国保か)の試算もあわせて、感情ではなく条件で決めるのがおすすめです。

参考資料

  1. 全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html
  2. 全国健康保険協会「資格喪失後の継続給付」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html#heading-3
  3. 厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/seishin.html
  4. 厚生労働省「基本手当について(ハローワーク)」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html
  5. 厚生労働省「e-ヘルスネット リワークプログラム」 https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-3002/

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