「退職給付金」と検索してこの記事にたどり着いた方は、退職後に受け取れるお金の制度を探している場合がほとんどです。「退職金」と混同されがちですが、両者は別物です。本記事では、退職給付金として呼ばれる公的給付の種類と受給条件、申請方法を整理します。
「退職給付金」が指す2つの意味
「退職給付金」という言葉は、文脈によって意味が変わります。
- 会社が支給する「退職金(退職一時金・企業年金)」を指すケース
- 退職後に申請する公的給付(雇用保険・健康保険から支給される基本手当・傷病手当金など)の俗称として使われるケース
検索ボリュームの傾向から見ると、後者の「公的給付」の意味で検索する人が多いと考えられます。本記事では公的給付を中心に解説します。会社からの退職金については、就業規則と退職金規程を確認するのが基本です。
退職給付金の主な種類(公的給付)
雇用保険の基本手当(失業保険)
離職前2年間に12か月以上の被保険者期間があり、働く意思と能力がある人が対象です。給付日数は90〜330日、給付額は離職前賃金の50〜80%です。
傷病手当金
在職中に病気やケガで連続3日以上働けない期間があり、4日目以降も働けない場合に、給与の約3分の2が最長1年6か月支給されます。退職後も継続受給できるケースがあります。
再就職手当
失業保険の支給日数が残っているうちに再就職した場合、残日数分の60%または70%が一時金で支給されます。早期再就職のインセンティブです。
教育訓練給付金
厚生労働大臣指定の教育訓練講座を受講した場合、受講料の20〜70%が支給されます。雇用保険の被保険者期間1〜3年以上などの条件があります。
自立支援医療(精神通院医療)
うつ病・適応障害などで通院治療を受ける場合に、自己負担が原則1割に軽減されます。市区町村の障害福祉窓口に申請します。
退職給付金をもらえる人の基本条件
- 雇用保険の被保険者期間が一定期間以上あること(給付ごとに異なる)
- 離職票(雇用保険被保険者離職票)を会社から受け取っていること
- ハローワークでの求職申込み・初回手続きを済ませること
- 健康保険の被保険者である(傷病手当金の場合)
「雇用保険に加入していたか」「被保険者期間がどれだけあるか」が出発点になります。アルバイト・派遣でも雇用保険加入の対象であれば受給可能性があります。
申請方法と窓口
- 失業保険・再就職手当・教育訓練給付:管轄のハローワーク
- 傷病手当金:加入していた健康保険組合
- 自立支援医療:市区町村の障害福祉窓口
退職後の一般的な流れは、(1)会社から離職票を受け取る、(2)ハローワークで求職申込みと基本手当の手続き、(3)必要に応じて傷病手当金・自立支援医療を別途申請、です。
注意点
退職金(会社支給)との混同に注意
会社が支給する退職金は、就業規則・退職金規程に基づくものです。すべての会社が退職金制度を持っているわけではなく、勤続年数・退職理由によって金額が変わります。公的給付とは別枠で確認が必要です。
「退職給付金が誰でももらえる」とうたう業者には注意
2025年に国民生活センターが、「給付額や期間を増やせる」とうたう申請サポート業者への注意喚起を公表しています。健康な人にうつ病の診断書を取得させ、特定理由離職者として優遇措置を不正に受けさせる事例が報告されています。
参考:失業保険の給付額等を増やすことができるとうたう申請サポートに注意|独立行政法人国民生活センター
よくある質問
正社員でなくても退職給付金は受け取れますか?
雇用保険に加入していた期間が一定以上あれば、アルバイト・パート・派遣でも基本手当の対象になります。「週20時間以上、31日以上の雇用見込み」がある場合に雇用保険加入が原則義務化されています。
自己都合退職と会社都合退職で差はありますか?
はい。自己都合退職は原則1か月の給付制限期間がありますが(2025年4月の改正前は2か月)、会社都合退職は待期7日後すぐに支給開始です。給付日数も会社都合退職の方が長くなります。
退職給付金は確定申告が必要ですか?
失業保険(基本手当)と傷病手当金は非課税です。確定申告は不要です。一方、会社から支給される退職金は退職所得として課税対象になりますが、勤続年数に応じた退職所得控除が適用されます。
まとめ
「退職給付金」は法律上の単一の制度ではなく、退職時に申請できる複数の公的給付の総称として使われます。基本手当・傷病手当金・再就職手当・教育訓練給付・自立支援医療などが該当します。
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