「失業保険を全部もらってから再就職するべきか」「すぐ再就職して再就職手当だけもらうべきか」迷う方が多い領域です。本記事では、両者の総受給額を比較し、再就職手当だけを賢く受け取る手順を整理します。
失業保険と再就職手当の関係
失業保険(基本手当)を受給中に早期再就職した場合、残日数に応じて再就職手当が一時金で支給されます。
- 残日数が所定給付日数の3分の2以上:基本手当日額 × 残日数 × 70%
- 残日数が所定給付日数の3分の1以上、3分の2未満:基本手当日額 × 残日数 × 60%
- 残日数が3分の1未満:再就職手当の対象外
参考:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)|厚生労働省
どちらが得かのシミュレーション
基本手当日額6,000円・所定給付日数90日のケースで比較します。
ケースA:失業保険を全額受け取ってから再就職
- 基本手当:6,000円 × 90日 = 540,000円
- 再就職手当:0円(残日数なし)
- 受給総額:540,000円
- 失業期間中の無収入リスク:3か月
ケースB:早期再就職(残日数3分の2以上)
- 基本手当:6,000円 × 30日 = 180,000円(消化した30日分)
- 再就職手当:6,000円 × 60日 × 70% = 252,000円
- 受給総額:432,000円
- 加えて新職場の給与(仮に月25万円なら2か月分で50万円)
給付金単体ではケースAの方が大きくなりますが、新職場の給与を含めるとケースBの方が手取り合計は多くなる場合が多いです。実際の選択は、再就職先の賃金水準と早期再就職の難易度で決まります。
再就職手当だけを賢くもらう手順
- 退職後ハローワークで求職申込みと基本手当の手続き
- 7日間の待期期間が満了するまで待つ
- 自己都合退職の場合は、給付制限期間の最初の1か月はハローワークまたは厚労大臣の許可・届出を受けた職業紹介事業者の紹介での就職に限る
- 残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている状態で再就職
- 採用日から1か月以内に再就職手当支給申請書を提出
- 審査後、約1〜2か月で振り込み
注意したいのは、給付制限期間中の自己手配の就職は最初の1か月のみハローワーク紹介などに限られる点です。給付制限期間の残り1か月は自己手配でも対象になります。
就業促進定着手当も検討する
再就職手当を受給した職場で6か月以上勤務し、その6か月間の賃金が前職より低い場合、差額分の一定額が「就業促進定着手当」として追加支給されます。
- 対象:再就職手当を受給した人
- 条件:再就職先で6か月以上継続勤務、かつ賃金が前職より低い
- 支給額:基本手当日額 × (前職賃金 – 再就職後賃金) / 前職賃金 × 30日分(上限あり)
「賃金が下がった転職でも、再就職手当に上乗せで補填される」と覚えておくと良いです。
注意点
離職前の事業主への再雇用は対象外
離職前の事業主、その関連会社、資本関係がある会社に再雇用された場合は、再就職手当の対象になりません。
1年を超える雇用見込みが必要
短期契約・日雇いの仕事は再就職手当の対象になりません。雇用保険被保険者になる雇用形態であることが条件です。
3年以内に再受給はできない
再就職手当を受給した日から3年以内に再離職して再受給することはできません。
よくある質問
給付制限期間中に決まった就職でも再就職手当はもらえますか?
給付制限の最初の1か月はハローワーク・許可職業紹介事業者の紹介での就職のみ対象、その後は自己手配でも対象です。
派遣社員でも対象になりますか?
雇用保険に加入する派遣で、1年を超える雇用見込みがある場合は対象です。日雇い派遣や短期契約は対象外です。
再就職手当の申請を忘れた場合、後から申請できますか?
採用日の翌日から1か月以内が原則の申請期限です。やむを得ない理由がある場合は2年以内まで認められるケースがありますが、早めに申請するのが安全です。
まとめ
「失業保険を全額もらう」「再就職手当だけもらう」のどちらが得かは、再就職時期と賃金水準で変わります。早期再就職で総手取りが増えるケースが多いので、無理に失業期間を延ばす必要はありません。
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