退職後にやることリスト!期限別の手続き一覧と進路別の最適な選択肢を解説

退職後の手続きは期限が短いものが多く、健康保険の切り替えは退職日の翌日から20日以内、国民年金への切り替えは14日以内に行う必要があります。退職後1週間以内、2週間〜1か月以内、3か月以内の3段階で優先順位を決めて進めることが重要です。

この記事では、退職後にやることリスト、期限別の手続き内容、退職後の進路別の最適な選択肢、失業保険の申請方法、受給期間延長の申請まで解説します。

退職後にやることリスト【早見表】

退職後の手続きは期限が短いものが多いため、このリストを参考に準備を進めましょう。

手続き期限担当窓口
健康保険の切り替え退職日の翌日から20日以内(任意継続の場合)協会けんぽ、健康保険組合、市区町村役場
国民年金への切り替え退職日の翌日から14日以内市区町村役場
失業保険(基本手当)の申請離職後、できるだけ早くハローワーク
確定申告(所得税)退職した年の翌年2月16日~3月15日税務署
住民税の納付退職時期による市区町村役場

退職後1週間以内にやること(最優先)

健康保険と年金の手続きは期限が短いため、最優先で行う必要があります。

離職票・退職証明書の受け取りと内容確認

会社から受け取る離職票(失業保険申請に必須)と退職所得の源泉徴収票(確定申告に必須)の内容に誤りがないか確認します。特に離職票の退職理由(自己都合か会社都合か)や日付は、失業保険の受給資格や開始時期に直結するため重要です。

健康保険の切り替え選択

以下の3つの選択肢から選び、手続きを進めます。特に任意継続には20日以内という期限があるため注意が必要です。

  • 家族の被扶養者になる:家族の健康保険に加入(収入要件あり)。
  • 任意継続:会社の健康保険に最長2年間継続加入。保険料は全額自己負担(約2倍)ですが、保険内容は在職時とほぼ同じです。
  • 国民健康保険:住所地の市区町村で加入。保険料は前年の所得によって計算されます。

年金の種別変更

会社員(厚生年金=第2号被保険者)から、国民年金(第1号被保険者)への種別変更手続きが必要です。これは退職日の翌日から14日以内に市区町村役場で行う必要があります。

会社貸与物・アカウントの返却確認

社用のPC、携帯電話、ICカード、セキュリティキーなどを、退職日までに確実に返却します。

また、社内システムやSaaSアカウントから、個人情報や業務データを削除し、アクセス権限を解除したことを確認します。

退職後2週間〜1か月以内にやること

生活の土台となる経済的な手続きを確立させます。

失業保険(雇用保険・基本手当)の手続き

会社から離職票が届き次第、速やかにハローワークに出向き、求職申込みと失業保険の受給手続きを行います。この手続きが完了しないと、給付が開始されません。

国民年金保険料の免除・猶予申請

国民年金への切り替え後、収入が途絶え保険料の納付が経済的に困難な場合は、保険料の全額免除または納付猶予制度があります。退職(失業)を理由とする特例免除の申請を行うことが可能です。

国民健康保険料の減免申請

国民健康保険に加入した場合、倒産や解雇などによる非自発的失業者は、申請により保険料が軽減される場合があります。必ずお住まいの市区町村役場で確認しましょう。

住民税の支払い方法変更

住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職後も支払いが必要です。通常、給与から天引き(特別徴収)されていた分が、退職後は**普通徴収(自分で納付)**に切り替わるため、納付書が届き次第、期限内に対応します。

住所・氏名変更がある場合の各種届け

引っ越しや結婚などで住所や氏名が変更になった場合は、運転免許証、マイナンバーカード、銀行口座など、各種公的書類や金融機関に届け出を行います。

退職後3か月以内にやること

長期的な資産形成や税金に関わる手続きを完了させます。

企業型DC/確定拠出年金の移換手続き

企業型確定拠出年金(DC)に加入していた場合、資産の移換先(iDeCoなど)を決定し、手続きを行う必要があります。原則として、資格喪失日から6か月以内に手続きを完了させないと、資産が国民年金基金連合会に自動移換されてしまい、手数料がかかるため注意が必要です。

財形・持株会・団体保険の精算・移管

会社を通して行っていた財形貯蓄の口座や、**持株会(社員持株制度)**の株式、団体保険などの精算・移管手続きを行います。

退職金の税金確認

退職金を受け取った場合は、退職時に受け取る退職所得の源泉徴収票を確認します。退職所得控除が適用されることで、税金が優遇されます。

医療費・ふるさと納税など確定申告の準備

年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合、自分で確定申告を行うことで源泉徴収された所得税が還付される可能性があります。医療費控除やふるさと納税の寄付金控除がある場合は、この時期に準備を進めます。

退職後の進路別!最適な選択肢はどれ?

退職後の進路によって、取るべき手続きや金銭的なメリットが異なります。

次の就職が決まっている人

健康保険は、次のの職場が始まるまでの間、現在の会社の任意継続を選択するか、国民健康保険に加入するか比較します。任意継続は保険料の上限があるため、所得が高かった人は任意継続の方が得になる場合があります。

年金は、次の会社で厚生年金に加入するため、国民年金への切り替え手続きは原則不要です。

フリーランス・個人事業主になる人

まずは開業日から1ヶ月以内に税務署へ開業届を提出し、税制優遇を受けるために青色申告の手続きも行います。そして国民健康保険と国民年金への加入が必須です。

病気・妊娠・介護などですぐ働けない人

病気・療養(労務不能)の場合、健康保険の傷病手当金の継続受給手続きを行います。失業保険は「受給期間延長」手続きで権利を温存します。

妊娠・出産・介護などの場合は、同様に雇用保険の受給期間延長手続きを行い、働けない期間が終了するまで失業保険の受給開始を待つのが最善策です。

失業保険(基本手当)の申請方法

失業保険(雇用保険の基本手当)は、積極的に求職活動を行う人を支援する制度です。給付を受けるためには、まずハローワークで求職の申込みを行い、失業の認定を受ける必要があります。

受給条件・所定給付日数・待期/給付制限

項目内容
対象雇用保険の被保険者だった人で、離職後に就職する意思・能力があり求職活動を行う
被保険者期間原則:過去2年で通算12か月以上(各月11日以上or80時間以上の賃金支払)※倒産・解雇などの特定受給資格者/特定理由離職者は、過去1年で通算6か月以上でも可
待期求職申込みから7日間
給付制限自己都合退職:待期後に2か月の給付制限(原則)会社都合等:給付制限なし(待期後すぐ支給対象)
受給期間原則:離職日の翌日から1年以内(この期間内に受給)※延長制度あり(病気・出産等)
支給日までの流れ求職申込み → 待期7日 →(自己都合は給付制限2か月)→ 失業の認定ごとに支給

初回認定までの流れ|求職申込み→説明会→認定日

失業保険の受給開始までには、以下のステップを踏む必要があります。

  1. ハローワークへ求職申込み
    離職票を持参し、居住地を管轄するハローワークで求職申込みと受給資格の決定を行います。
  2. 受給資格の決定
    提出書類に基づき、受給資格の有無や給付日数が決定されます。
  3. 雇用保険受給者初回説明会への参加
    指定された日時に参加し、制度や求職活動の方法、今後のスケジュールについての説明を受けます。
  4. 待期期間(7日間)の満了
    この間は給付されません。
  5. 失業認定日
    給付制限期間(自己都合の場合)の満了後、または待期期間満了後に指定されます。原則4週間に一度ハローワークへ出向き、求職活動実績を報告し、失業の認定を受けることで給付が始まります。

病気・出産で求職活動できないときは「受給期間延長」を申請

病気、ケガ、出産、育児、介護などで、すぐに求職活動ができない状態が30日以上続く場合、失業保険の受給期間(原則1年間)を最長4年間まで延長することができます。

この手続きは、失業保険の受給権を失うことなく温存するための非常に重要な措置です。特に、退職後すぐに療養が必要な場合は、離職日の翌日から30日を経過した日から、速やかにハローワークで申請しましょう。

まとめ

退職後の手続きは期限が短いものが多く、健康保険の切り替えは退職日の翌日から20日以内、国民年金への切り替えは14日以内、失業保険の申請はできるだけ早く行う必要があります。

退職後1週間以内にやることは、離職票・退職証明書の受け取りと内容確認、健康保険の切り替え選択、年金の種別変更、会社貸与物・アカウントの返却確認です。健康保険は家族の被扶養者になる、任意継続、国民健康保険の3つから選びます。

退職後2週間〜1か月以内にやることは、失業保険の手続き、国民年金保険料の免除・猶予申請、国民健康保険料の減免申請、住民税の支払い方法変更、住所・氏名変更がある場合の各種届けです。

退職後3か月以内にやることは、企業型DC確定拠出年金の移換手続き、財形・持株会・団体保険の精算・移管、退職金の税金確認、医療費・ふるさと納税など確定申告の準備です。

病気や出産で求職活動できないときは、失業保険の受給期間を最長4年間まで延長できる受給期間延長を申請することが重要です。退職後の手続きで損をしたくない方はぜひ参考にしてみてください。

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