失業保険は自己都合退職後3ヶ月以内に就職したらもらえない?再就職手当の条件と申請方法

自己都合で退職したあと、予想よりも早く次の職場が決まった場合、「失業保険はもらえるのだろうか」という疑問を抱く方は少なくありません。

この記事では、自己都合退職後3ヶ月以内に就職した場合の失業保険の取り扱いについて詳しく解説します。基本手当が受け取れない場合でも活用できる「再就職手当」の制度や、受給条件、申請時の注意点まで、具体的なケース別に分かりやすく説明しています。

自己都合退職後3ヶ月以内に就職した場合、失業保険は受け取れる?

結論から言うと、自己都合退職後3ヶ月以内に就職した場合、通常の失業保険は受け取れない場合がほとんどです。ただし、再就職が決まった「タイミング」によっては受け取れる可能性があります。

自己都合退職の場合、ハローワークで申請手続きをすると、まず以下の期間が設けられます。

7日間の「待機期間」ハローワークで失業保険の申請をした日から、全員に共通して7日間、失業状態かどうかを確認するための期間です。この間は失業保険は支給されません。
原則1ヶ月の「給付制限期間」※自己都合退職の場合、7日間の待機期間が終わった後、さらに原則1カ月間は失業保険が支給されない期間が設けられます。この期間を過ぎて初めて、実際の給付が始まります。

※2025年4月の法改正で、給付制限は原則1ヶ月に短縮されました。(過去5年以内に2回を超える自己都合退職がある場合は3ヶ月)

月々の失業保険は、これらの期間がすべて終了し、なおかつ失業状態にあることが確認されて初めて支給が始まります。このルールを基に、「3ヶ月以内」の就職を2つのケースに分けて見ていきましょう。

ケース1|給付制限が終わった後、3ヶ月以内に就職が決まった場合→もらえる可能性があるが注意が必要

これは、「待機と給付制限(約1ヶ月と1週間)が終わった後、まだ失業状態が続き、その後3ヶ月以内に就職が決まった」というケースです。

この場合、月々の失業保険をもらえる可能性がありますが、手当は自動的に振り込まれるわけではありません。約4週間に一度の「失業認定日」にハローワークへ行き、失業状態であったことの認定を受ける必要があります。

最初の失業認定日が来る前に就職が決まってしまうと、結局1円も受け取れずに終わることがほとんどです。

ケース2|給付制限の期間中(約1ヶ月と1週間以内)に就職が決まった場合→もらえない

これは、退職後すぐに活動し、給付制限が終わる前に次の仕事が決まったケースです。この場合、月々の失業保険はもらえません。

給付制限期間中に就職するということは、「失業の状態」ではないため、基本手当の支給対象外となります。

自己都合退職後3ヶ月以内に就職した場合は「再就職手当」が受け取れる

再就職手当の受給条件を確認するための3ステップフロー図。基本条件、就職先の条件、離職理由による制限を順に確認し、自己都合退職者への特別制約(給付制限中の再就職制限)も併せて説明されている。

給付制限期間中に再就職が決まり、基本手当が受け取れなかったとしても、がっかりする必要はありません。早期の再就職を促進するための制度として「再就職手当」という一時金制度が用意されています。

これは、失業保険の給付日数を一定以上残して安定した職業に就いた場合に、いわば「お祝い金」としてまとまった額が支給されるものです。

ただし、再就職手当を受け取るには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 失業保険の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
  • 1年を超えて勤務することが確実な職業に就いたこと。
  • ハローワークで手続き後、7日間の待機期間が満了した後の就職であること。
  • 離職前の会社や、その関連会社への再就職ではないこと。

待機期間満了後の1ヶ月間(給付制限期間)に再就職した場合、再就職手当が支給されるのは、原則として「ハローワーク」または「許可・届出のある職業紹介事業者」の紹介によって就職した場合に限定されます。

自分で求人サイトで見つけた仕事や、知人の紹介で就職した場合は、この期間中の再就職では手当の対象外となる可能性が高いため、十分な注意が必要です。

関連記事「失業保険の再就職手当とは?もらえる条件・金額・申請方法と注意点をわかりやすく解説

自己都合退職後に再就職手当を受け取る際の注意点3つ

失業保険に加え、早期に再就職が決まった際に受け取れる「再就職手当」は、新しいスタートを切る上で大きな助けとなります。しかし、自己都合で退職した場合、この手当を受け取るためにはいくつかの重要な注意点が存在します。

ここでは、後悔しないために押さえておきたい重要なポイントを3つ解説します。

注意点1|受給条件をすべて満たしているか確認する

再就職手当を受け取るためには、まず定められた受給条件をすべて満たしているかを確認することが不可欠です。失業保険を受給するための7日間の待機期間が満了していることはもちろん、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている必要があります。

さらに、再就職先で1年以上の雇用が見込まれていることや、離職前の事業主または関連する事業主への再就職ではないことなど、細かな要件も設定されています。特に自己都合で退職した場合は給付制限期間が設けられますが、この期間中に再就職を決める際は、原則としてハローワークや許可・届出のある職業紹介事業者の紹介などを通じて就職した場合に対象となるため注意が必要です。

これらの条件は複雑なため、ご自身の状況が該当するかどうか、事前にハローワークの窓口で必ず確認するようにしましょう。

関連記事:「失業保険の受給条件とは?もらえる人・もらえない人の違いをわかりやすく解説

注意点2|就職後の申請漏れやタイミングに注意

無事に再就職先が決まった後も、手続きのタイミングが非常に重要です。再就職手当の申請は、原則として就職した日の翌日から1ヶ月以内に行わなければなりません。この期限を過ぎてしまうと、手当を受け取れなくなる可能性があるため、迅速な手続きが求められます。

申請には、再就職先の企業から発行してもらう「採用証明書」などの書類が必要です。これらの書類は依頼してから作成までに時間がかかることもあるため、申請期限に間に合わなくなるケースも少なくありません。手続きをスムーズに進めるためにも、内定が決まった段階で速やかに再就職先の担当者へ書類の準備を依頼し、計画的に進めることが大切です。

注意点3|再就職後の不正受給・条件違反・途中離職に要注意

再就職手当は、あくまで安定した職業に就いたことを奨励する制度であるため、受給後の状況にも注意が必要です。例えば、ハローワークで受給資格の決定を受ける前から内定が決まっていた場合や、申請内容に虚偽があった場合は不正受給とみなされます。

また、再就職手当は1年以上の勤務が前提となっているため、短期間で離職してしまった場合は原則として対象外となります。離職前の会社やその関連会社への再就職も同様です。

もしご自身の状況がこれらの条件に該当する可能性がある場合は、隠さずにハローワークへ正直に申し出て、適切に相談するようにしてください。

自己都合退職後3ヶ月以内に就職した場合の失業保険に関するよくある質問

ここでは、自己都合退職後3ヶ月以内に就職した場合の失業保険に関するよくある質問とその回答を紹介します。

3カ月以内に再就職した場合、失業保険はもらえますか?
原則もらえません。自己都合退職の場合、受給資格決定後に7日間の待機期間+1カ月(または3カ月※)の給付制限があります。この期間内に再就職してしまうと、「失業している状態」とは認められず、基本手当の受給はできません。
再就職後にすぐ退職した場合はどうなりますか?
再就職手当を受け取った後、早期に再離職した場合は返還義務が生じる場合があります。1年未満で離職、または内定・就職日の虚偽申告があった場合などは特に要注意です。
例外的に失業保険の給付制限がかからない場合はある?
病気・介護・配偶者転勤など「やむを得ない自己都合(特定理由離職者)」に当てはまれば、会社都合扱いとなり、給付制限なく受給できる場合もあります。

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まとめ

自己都合退職後3ヶ月以内に就職した場合、通常の失業保険は受け取れないケースがほとんどです。これは、自己都合退職では7日間の待機期間に加えて、原則1ヶ月の給付制限期間が設けられており、この期間中に就職が決まると「失業状態」とは認められないためです。

しかし、早期再就職にはメリットもあります。給付制限期間中であっても再就職が決まれば「再就職手当」という一時金を受け取れる可能性があります。この制度は、失業保険の給付日数を残して安定した職業に就いた方への支援として設けられており、早期の社会復帰を後押しします。

ただし、再就職手当を受け取るには、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることや、1年以上の雇用が見込まれることなど、細かな条件があります。特に給付制限期間中の再就職では、ハローワークや許可された職業紹介事業者を通じた就職が原則となるため注意が必要です。

自己都合退職後でも、適切な手続きを踏めば支援制度を活用できます。不明な点があれば、ハローワークで詳しく相談し、ご自身の状況に最適な選択肢を見つけましょう。

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