失業保険の手続きは初回申請、受給説明会、失業認定日と複数の段階に分かれており、それぞれで必要な書類が異なるため、事前の準備が極めて重要です。書類の準備不足や内容不備があると、手続きが受理されずに給付開始が大幅に遅れたり、最悪の場合は受給資格を失ったりする可能性もあります。
この記事では、失業保険の手続きを段階別に分け、それぞれの段階で必要な書類と事前に確認すべきポイントを詳しく解説します。
失業保険の手続きで必要な書類を段階別に紹介
失業保険の手続きでは、段階ごとに必要な書類が異なります。スムーズに手続きを進めるために、いつ何が必要になるかを事前に確認しておくことが大切です。
ステップ1|初回申請時に必要な書類

ハローワークで最初に行う手続きでは、あなたの身元や離職状況を確認するための書類が必要です。特に、会社から受け取る離職票がなければ手続きは始まりません。
- 雇用保険被保険者離職票(1・2)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 本人確認書類(マイナンバーカードがない場合)
- 証明写真(最近撮影したもの、縦3cm×横2.4cmを2枚)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑(認印で可)
ステップ2|雇用保険受給説明会で必要な書類
初回の申請後、7日間の待機期間を経て「雇用保険受給説明会」に参加します。この日は、初回申請時にハローワークから受け取った書類を持参します。
雇用保険受給資格者のしおり | 初回申請時に渡される冊子 |
筆記用具 | 説明内容をメモするために必要 |
印鑑 | 必要な場合があるため持参すると安心 |
この説明会で、今後の手続きに不可欠な「雇用保険受給資格者証」と一回目の「失業認定申告書」が渡されます。
ステップ3|失業認定日に継続的に必要な書類
失業保険の受給中は、原則として4週間に1度の「失業認定日」にハローワークへ行き、失業状態にあることの認定を受ける必要があります。この手続きを忘れると、その期間の給付が受けられなくなるため注意が必要です。
雇用保険受給資格者証 | 説明会で受け取るもので毎回必ず必要 |
失業認定申告書 | 求職活動の実績などを記入して提出する |
印鑑 | 申告書の訂正などに使う場合がある |
失業保険の手続き前に確認すべき必要書類のポイント3選

失業保険の手続きをスムーズに進めるためには、事前に必要書類を正確に準備しておくことが何よりも大切です。書類に不備があると、申請が受理されなかったり、給付開始が遅れたりする原因となります。ここでは、特に重要な3つのポイントについて解説します。
ポイント1|離職票(1・2)の内容と到着有無を必ず確認する
退職した会社から送付される「雇用保険被保険者離職票(1・2)」は、申請に欠かせない最重要書類です。まず、この離職票が手元に届いているかを確認してください。届いたらすぐに封筒を開け、「退職理由」「賃金額」「雇用期間」といった失業保険の給付内容を左右する項目が、ご自身の認識や事実と合っているかを念入りにチェックしましょう。
もし離職票が予定日を過ぎても届かない場合や、内容に誤り・納得できない点があった場合は、そのままにせず、速やかに会社の人事担当者や管轄のハローワークへ相談することが重要です。
関連記事:「離職票はいつもらえる?退職からの目安と届く前にやるべき手続き・準備まとめ」
ポイント2|本人確認書類・マイナンバーは最新情報でそろえる
手続きでは、本人確認とマイナンバー(個人番号)の確認が行われます。顔写真付きのマイナンバーカードがあれば、それ1枚で両方の確認を兼ねることができるため大変便利です。もしマイナンバーカードがない場合は、マイナンバー通知カードや個人番号が記載された住民票と、運転免許証などの顔写真付き身元確認書類といった、定められた組み合わせで提出する必要があります。
これらの書類を準備する際は、有効期限が切れていないか、また、引っ越しなどをして住所が最新の情報に更新されているかを必ず確認してください。
ポイント3|証明写真・振込口座・印鑑も忘れずに持参する
申請書類に貼付するための証明写真も事前に準備が必要です。サイズは縦3.0cm×横2.4cmで、6ヶ月以内に撮影したものを2枚用意します。また、失業保険の振込先となる本人名義の預金通帳やキャッシュカードも忘れずに持参してください。一部のネット銀行や外資系金融機関は指定できない場合があるため、事前に確認しておくと安心です。
そして、手続きには原則として印鑑も必要となるため、認印を準備しておきましょう。書類の記入や押印欄に漏れがないかも、ハローワークへ向かう前に最終チェックをすると万全です。
失業保険の手続きにおける必要書類関連のトラブル対処法
失業保険の手続きでは、予期せぬ書類のトラブルが発生することがあります。しかし、事前に対処法を知っておけば、慌てず冷静に対応できます。ここでは、よくある3つのケースとその解決策を解説します。
ケース1|離職票の内容に誤りがある場合
退職した会社から受け取る離職票の内容、特に「退職理由」「賃金額」「雇用期間」といった項目に誤りや不明点を見つけた場合、まずは会社の人事担当部署に連絡を取り、修正を依頼するのが一般的です。
しかし、会社が修正に応じてくれない場合や、退職理由などについて会社との認識に大きな隔たりがある場合は、ハローワークの窓口で「異議申し立て」を行うことができます。
具体的には、離職票-2の「異議有り」の欄にチェックを入れ、「具体的事情記載欄」に詳しい状況を記入して提出します。その後、ハローワークが中立な立場で会社とあなた双方から事情を聴取し、提出された証拠などをもとに最終的な離職理由などを客観的に判断してくれます。
ケース2|手続き中に必要書類を紛失・期限切れになった場合
手続きの途中で離職票やマイナンバーカード、運転免許証といった重要書類を紛失してしまった場合は、気づいた時点ですぐに再発行の手続きを開始しましょう。
離職票は退職した会社へ、マイナンバーカードは市区町村役場、運転免許証は最寄りの警察署や運転免許センターでそれぞれ再発行の手続きができます。また、証明写真や住民票などの書類が期限切れになっている場合は、速やかに最新版を用意し直す必要があります。
もし必要書類が一時的にそろわない状況でも、諦めずにまずはハローワークへ相談することが重要です。事情を説明すれば、仮手続きを進めてくれたり、今後の対応について具体的な助言をもらえたりします。
ケース3|個人情報が変更になった場合
失業保険の申請後、受給が完了するまでの間に住所や氏名、手当の振込先口座などが変更になった場合は、速やかにハローワークへ届け出る必要があります。その際は、変更内容に応じた証明書類、例えば新しい住所が記載された住民票の写しや、氏名変更の場合は婚姻届の受理証明書、口座変更の場合は新しい預金通帳などを持参して手続きを行います。
変更の届け出が遅れると、失業保険の支給に遅れが生じる可能性があります。万が一、申請内容と実際の情報が異なったままだと、手続きを最初からやり直すことになる場合もあるため、変更があった際はできるだけ早く対応することが大切です。
まとめ
失業保険の手続きでは、初回申請時、雇用保険受給説明会、失業認定日の各段階で異なる書類が必要になります。最も重要なのは初回申請時で、離職票(1・2)、マイナンバー確認書類、本人確認書類、証明写真、預金通帳、印鑑の6点を漏れなく準備することが不可欠です。その後の説明会では受給資格者証と失業認定申告書を受け取り、継続的な失業認定日にはこれらの書類を持参します。
手続きを円滑に進めるためには、事前の書類確認が極めて重要です。特に離職票の退職理由・賃金額・雇用期間が正確か、本人確認書類の有効期限は切れていないか、証明写真のサイズは規定通りかなど、細かな点まで事前にチェックしましょう。
万が一、書類の誤りや紛失といったトラブルが発生した場合でも、速やかにハローワークに相談することで適切な対処法を案内してもらえます。段階別の必要書類を把握し、事前準備を怠らず、問題が生じた際は迅速に対応するようにしましょう。